その前にカメラとにらめっこをして下さい。あなたは機械が好きですか。歯車やカムやクランクの動きを追いか
けて理解できますか。そして、人が作った物必ず分解修理できるという信念で取り組めますか。? それなら進め
ましょう。前、後ろ、上、下、いかがですか。?
じっくりと観察してください。一番簡単なのは、そう底蓋です。でもここは誰でも簡単に開けてしまいますが、
ここで直せるのは、一部の機種のシャッターチャージの調整位なだけです。肝心なのは、上蓋です。そして巻き
上げレバーや巻き戻しレバー等最初にはずさなければいけない小物がたくさんあります。まず巻き上げレバーの
上の飾り蓋。これはもし小さな穴が二つ開いていれば( カニ目 )その穴にあわせてラジオペンチ小の先端をヤスリ
で削って作ります。
もし、何も手がかりになる穴などが無ければ木片にゴム板を接着したものを作り、圧着させながらまわします。
レンズ先端部も同じように溝や穴のあるものは、ラジオペンチ大をヤスリで削ってぴったり合うようにして下
さい。レンズによってはさらにラジオペンチの先端部を曲げてやらなければいけない物も有ります。また、穴や
溝のない物は、吸盤( 洗面所や台所等で物を吊るしたりする時に使う )をレンズの名前などが掘ってある板の大き
に切り、又切った吸盤の大きさに合わせて木片を彫刻刀やカッターナイフで削り中心部を掘り、接着剤でねばせ
ばあなたのカメラのレンズ専用工具が出来ます。そしてそれはあなたのカメラのメンテナンスをする為の貴重な
財産になります。
地雷注意!!
オリンパスOM シリーズは巻き上げレバーの飾り蓋が二重になっています。真中の黒い部分はいかにも穴が
二つ開いていて誘っていますが、これはアルミの薄い板が接着されているだけです。ヘアードライヤーで暖める
か無水エタノールやリグロイン(薬局で売っています)で接着剤を柔らかくしてから爪楊枝などを使うと簡単に外
れます。それから道具合わせをして下さい。(同じようにアルミで蓋がされている物にはトプコンウインクミラー
系統や、プラクチカ、ペンタコン 6等が有ります。
又、レンズ回り(フジST 、AX
)や巻き戻しレバーの中心部( M 型ライカ)を良く見てください。小さい緩み止
めのねじが埋め込まれている場合があります。これを緩めずに強引に回せば当然壊してしまいます。
セルフタイマーの頭やシャッターボタンの周囲等 ( ニコンF 、 F2、FM )小さい部品のカニ目や、丸いワッ
シャー状のナットに溝が二本あるものや、ねじの頭が+や−ではないところは安物のドライバーセットの中のマ
イナスドライバーをヤスリで削って作ります。一つの冶具ですべてに兼用しようとは決して考えないでください。
あなたの大事な愛機です。「部品ひとつに、ひとつの冶具」位の気持ちでの取り組みが大事です。
次にペンとノートです。大まかなカメラの外観を書きどの部品がどこにどのように付いていたか番号を振りメ
モを取りながら分解をすると組み立てるとき逆にたどれば楽でしょう。これをせずに組み立てられなくなる人がたく
さんいますし、ねじの長さが違い他の部品の動きの妨げになり動作不良になっている物もたくさん見かけます。
又、はずした部品はノートと同じ番号をつけフイルムの空きケースなどに入れていけば、無くす心配もなくな
ります。ノートには、ばねの向きや形も必ず事細かく書いてください。《一箇所はずしたら必ずメモを忘れず
にが鉄則です》
分解は必ずカメラがすっぽり入る空き缶か空き箱の中で行ってください。( ねじを落としたり、ばねを飛ばし
ても缶や箱の中ならすぐに見つけられます )そして、「根気良くにらめっこです」( 手がかり )が見えてくるよ
うなら大丈夫です上蓋や下蓋を外す時はゆっくりそして慎重に持ち上げること。
内部のばねやワッシャを飛ばしたりシャッターボタンや巻き戻しボタンの落下、ペンタプリズムをこすって
削ってしまったりシンクロ接点や露出計の電線の切断等注意して作業を進めてください。ハンダ付けされてい
る物はコテを当てて外し易い方をはずせば良いでしょう。(組むときのことを考えて)
シャッターボタンや巻き戻しボタンには、方向のある物もありますのでメモを忘れずに。組み立てるとき落
ちて困る物は上蓋や下蓋に通してセロテープで外側から押さえると簡単に組めます。(コンタックス
T )部品の
連動のチェックも忘れずに。
コダック シグネット 簡単に上カバーを開けられるだけに開けてみた跡の有るボデーをかなり見ます。構造を良く
見ないでカバーを乗せてしまいフィルムカウンターが働かなくなっています。これは、カバーにフィルムカウンターの歯車
が有り、ボデーにこの歯車を1コマ分引っ張るツメが有ります。このツメが常に歯車と噛み合う様にスプリングで押されて
いるためそのまま上カバーを載せたのではツメの部分が歯車の下に潜り込んでしまい働かなくなります。細いピアノ線や
針金 ( 0.1mm 位 )等をL字に曲げツメが歯車の外に行くように軽くツメの根元を押す道具を作りこれをファインダーと上カ
バー隙間から出るように保持してそっと上カバーを載せてやり、カバーを押さえながら道具を引き抜けば上手くいきます。