履物まめ知識履物まめ知識


代表的な下駄の種類
桐下駄の種類
花緒
鼻緒のつくりや結び方など
草履
どうして足が痛くなるの?

代表的な下駄の種類

地域により異なることもございます。また、上の代表的な形の下駄に彫刻したり塗料を塗れば各地の名産品が出来ます。( 鎌倉彫や津軽塗り、秋田のかば細工など )
桐下駄の産地 有名な所では福島県会津若松周辺の会津桐や岩手県の南部桐、が在ります。

下駄(げた)右近(うこん)後丸(あとまる)千両 (せんりょう)

甲堀(ぽっくり)タウンクイン時雨 ( しぐれ )

庭下駄(にわげた)手前 朴高歯(ほうたか)奥 樫高歯(かしたか)手前 中歯(ちゅうぱ)


スケート下駄
ご存知ですか?仙台は日本のフィギュアスケートの発祥の地。
これは、明治38年仙台市博物館入口にある五色沼で旧制二高、現在の東北大学の学生がゲタの下にレールを取り付け滑ったのが始まりと言われています。
この商品は昭和20年代頃までの復刻版です。装飾用としてご利用いただければ幸いです。

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桐下駄の種類

桐下駄の作り方にもいろいろな作り方があります。

代表的なものには柾下駄(まさげた)と呼ばれる、一枚の桐材からつくられるものがあります。
これは、 木の木目が揃っていて、上、正面、裏、後ろ正面、と順に見ていただきますと、この木目がきちんとつながり、下駄を一周します。
・・・・・・・・・この木の木目のことを柾目<まさめ>と呼びます。
価格も基本的には柾目の本数によって、大きく変わります。 6、7本⇒8、9本⇒10本以上⇒15本以上⇒20本以上という順番に価格も高くなります。
現在では20本以上の、柾目の下駄を探すのは大変に困難ですし、価格的にもかなりの物になります。植物から人への貴重な贈り物と考えていただいて結構です。

次に、価格を安くする為に、台や歯を接着して作る、張柾下駄(はりまさげた)があります。
この作り方で作られた下駄は、履物業界内部では、作り方で呼び方が変ります。
おかぐら⇒ 一枚の桐材で作った台の、足を乗せる部分に薄い桐の板を張った物
真物  ⇒ 一枚の桐材で作った台の、足を乗せる部分に、紙のように薄い桐のきょうぎを張った物
天一  ⇒ 桐の板に歯を接着し、足を乗せる部分に、紙のように薄い桐のきょうぎを張った物
天二  ⇒ 2枚の桐の板を接着し、歯を接着して、足を乗せる部分に、紙のように薄い桐のきょうぎを張った物
天一と真物の中間に、天一のおかぐら、と言って天一の台に薄い桐の板を張った物もあります。

これ以下の台で、専門店では扱うのが怖い、3枚から5枚の小板を接着して作った板に、歯を接着し紙のように薄い桐のきょうぎを張った価格優先の桐下駄もあります。
素人が、ちょっと見た目には判りにくい商品ですが、簡単な見分け方として木目を見てください。
柾下駄の木目(綺麗に繋がります) 裏側歯の部分です。木目が繋がっています
張り柾下駄の木目。写真中央から下への、目の繋がりが途切れています 歯の接着部。こちらも目が繋がりません

台と歯の境目で全部の柾目が繋がらなければ歯が接着してあります。次に正面から見てください。足を乗せる部分から柾目が繋がらなければ紙のように薄いきょうぎ張り、薄板が張ってあれば板を接着した 接合面が確認できます。
最後に台の裏側、2枚以上の板を接着してあれば接着部分で、柾目の繋がり方がおかしく見えます。

木の木目⇒木の年輪のことで、木の生長にともない、一年に1本づつ増えます。
塗装してある桐下駄は、一部を除いて、接着で作った台に色を塗ってあります。柾下駄の良さを塗料で消してしまいますので、あえて柾下駄の台を使う必要がないからです。又、桐、以外の木で作られた下駄を雑木下駄<ぞうきげた>と言います。

※ご注意
下駄を履いての車(自動車、バイク、自転車)の運転は危険ですのでお止めください。法令により禁止されております。
神社や河原、工事現場などを歩行する場合、玉砂利や砕石の上の歩行は特にお避けください。木で出来ている歯や台が、石に砕かれてボロボロになります。

桐塗り下駄の欠点

桐の木は軟らかく軽いのが特徴です。が、この軟らかさが致命的な欠点となる場合もあります。木自体が軟らかいため、軟らかい地面(砂地や芝生など)を数歩歩いただけでも歯の角が欠ける事があります。(体重により木が擦りつぶされるという表現のほうが適切かもしれません)
塗り下駄は、この軟らかい木の表面を硬い塗料で覆ってあります。(カステラやマシュマロ、アイスクリームの表面を薄くチョコレートや飴でコーティングしてあるお菓子を想像して見てください)特に表面がつるりとした光沢のある塗り下駄は、塗料を塗る前に下地処理としてトノコ(土壁のような物)を塗ります。履いて歩くことにより、このトノコに細かいひび割れが入ってきます。そしてひび割れが広がり、塗りのはがれとなります。これは材料や塗料の性質上やむを得ません。又、歩いた距離や回数も関係ありません。要はどのように力が加えられたかということで剥げ方が異なってきます。(上記のお菓子が、かじりかたで飴やチョコレートの割れ方が異なるのいっしょです)
塗り下駄は表面が塗料で覆われていると上記しましたが,これにより足の汗を吸いません。足の裏に汗をかく人が長時間お履きになると、下駄の上で足がヌルヌルして滑るような感じになります。

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花緒(鼻緒)

写真左側、足の指で鋏む部分を仙台の業界では鼻緒、全体を花緒と言っております。鼻先の緒と花緒、言葉にすると紛らわしいのですが・・・・。全国的には〔前つぼと鼻緒〕と言われております。
※右の写真が花柄だからではありません。
表面に使用する材料は、大きく分類すると、布地、皮、ビニールに分かれます。
使用する布地の種類だけでも代表的なもので 綿製 (葛城等、かつらぎ と読みます)、ワナやハイミロン(合成繊維)製 、本天(絹入り)製などが有ります。

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鼻緒のつくりや結び方など

鼻緒を台に取り付ける前に根元の部分を処理するのですが、これはお店により色々なやり方があります。
この処理の仕方は誰の弟子になり、どこで修行したかで変わって来ます。又、大きく分けても10種類以上のやり方がありますし、修行時代にどのように自分なりに変えていけば伸びにくく切れにくくなるか研究の成果でもあります。
教えられた通りにしかやらないか、手を抜いて簡単に出来るようにするか、手は掛かっても丈夫になるようにするか等、我々専門店にお客様が修理に持ち込まれた物を観ると色々です。
もちろん、仙台市内の、お互いの店の作り方や結び方全て異なっており、見るとお互いにどこのお店か判ります。この部分は普通はお客様の目に見える所ではありません。下駄なら裏返せば大体は見えるのですが、特に草履の場合は蓋で隠されていて見えません。
作り方二つを乗せましたが、これが全てではありません。興味がおありの方は別ページ"職人のこだわり"をご覧ください。

全国的に一番多い標準的な鼻緒の作り方。一本の麻紐をうまく使って処理されています。
職人のこだわりのページには、右の写真共々この裏側からの写真を掲載してあります。
手抜きの代表と言われてもおかしくない作り方。最近は輸入物によく見られます。一本の麻紐の途中を二つに分けて鼻緒に潜らせただけ。
これでも持つからいいですと言う業者も居りますが、専門店としては履き捨てタイプの作り方と考えています。

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草履

高級草履の中は、このようになっております。この芯に職人が皮やビニールなどの素材を一つ一つ丁寧に巻いて接着していきます。巻き上がったものを元のように重ねて接着し ( 昔は麻糸で縫い付けていました ) 底の革と足の乗る天板部分を接着し、かがとのゴムを付けて草履の台の部分ができます。そして、花緒を付けて完成です。
私たち業者は草履の高さを言う場合は、この芯の高さで言い表しますので(1寸⇒3cmの高さの芯を使った草履)、実際の高さは天板部分底革かかとのゴムがプラスされますのでもっと高くなります。

高級草履のコルク芯です 5段重ね用ですのでこのようになります

幻の草履となりつつあるもの
いずれも、作っていた職人さんが数年前に亡くなっており、各店手持ちが無くなれば絶版でしょう。
ゼブラ編み雪駄 藤表雪駄

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どうして足が痛くなるの?

1.いちばんは、足に合わせて花緒が調整されていないということです。
2.にばんめは、慣れです。最近は靴の生活が多い為、足の指の間に異物( 鼻緒 ) が入る為
3.さんばんめは、ファッションで選びすぎる為です。下駄や草履は長い年月をかけて今ある形や花緒を通す穴の位置などが自然に決まってきました。その為、それを考えずにデザインだけ優先して作られたものでは、当然足が痛くなります。下の写真は、極端な例ですがわかり易いと思いますのでご覧ください。

ファッション重視の大人用代表 代表的な子供の下駄です

後ろの穴の間隔が約3cmしかありません 子供の下駄でも穴の間隔が約4cmあります

いかがでしょう。子供の足より足幅の広い大人がこれを履いたらどのようになるでしょうか。いくら花緒を伸ばしても花緒の凸の上に足 ( 土踏まず付近 ) が乗る形になります。痛くないほうがおかしいです。
下駄や草履をお求めになる時は、この穴の間隔にも御注意ください。
下駄や草履をお求めになる時は、ぜひ、履物専門店にご相談ください。

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