シャッタースピード試験機

 皆さんはシャッター速度 (シャッタースピード) の調整はどのようになさっていますか

 よく本に掲載されているのはテレビの画面や、蛍光灯を使った方法そして昔のレコードプレーヤーを使ったやり方などですが、いずれも確実ではありません。光を定量的に測って初めて結果が出てくるのであり、シャッタースピードの測定だけなら簡易なテスターもありますが、幕速度を計測するためには開きはじめと閉じ終わりのデータを別々に取り込まなければ測定する事はできません。又シャッタースピードだけにこだわりすぎて、幕速度をがちがちに上げすぎている機械もたくさん見ます。とくに新旧のライカタイプに多いのですが、巻き上げが重いもの。なおかつシャッター音の甲高いもの。これらは幕速度を見ずにシャッター幕にテンションをかけ過ぎているためです。こうなると、いつシャッター幕やリボンが切れてもおかしくありませんし、チタン幕等の金属幕は止め金具から抜けてしまいます。私は以前ミランダカメラで使っていた試験機をある方からいただいたのですが、ライカやニコンFなどの横走りは良いのですが、ニコマートやトプコンRE2、果てはちょっと前までのAE一眼レフのように縦走りのフォーカル機では使えませんし、使用しているニキシー管も一部表示せず、交換しようにもすでに手に入りません。そこで、電気に詳しい友人に相談したところ、カウンター用のLSI を使えばかなり高精度な試験機が製作可能との事でした。

 ここで一つ問題なのが I Cです。最近は液晶表示用のカウンターICは電気関係の雑誌( トランジスタ技術 )の通販では結構各社から出ているのですが、私はどうも液晶がなじみにくく、どうしても7セグメントLEDで作りたかったのでI C を探すのに苦労しました。

 試験機の仕様
 正確な時間を作り出す部分は、10MHzの水晶発信器
 センサー部分はフォトダイオード三個
 表示は7セグメントLEDで速度をミリ秒で表示
 幕の走る方向 ( 上下左右 ) に関係なくデータを取り込めること
 先幕、後幕の各速度は、四桁で表示し、99.99ミリ秒まで計測でき、不要のとき最上位の桁が0を表示しない。
 シャッター速度も99.99ミリ秒 (10分の1) より長くなると自動的に桁上げして999.9ミリ秒まで測定できる。
 光源もいっしょに組み込み、簡易な露出計の調整に使えるようにする。照度の調整は富士フィルムのシートタイプNDフィルターを使って行う。
 表示は次のデータが入るまで保持し続け、シヤッターを押せば連続して計測できるようオートリセットとする。
 但しシャッター幕が開き切らなかった場合ゲートのオフが出来なくなり計測不能となった時の為リセットを手動でも行えるようにする。

この条件で組んだのが下の写真のシャッタースピード試験機(シャッター速度テスター)です

 非常に快適に動作してくれたので予備の部品でもう一台組み立て、現在いつも世話になっているカメラのコセキ フォトテック ( 仙台市青葉区一番町4丁目 ) に予備機をテスト使用もかねて、貸し出してあります。フォトテックへお越しの際は是非愛機のチェックも兼ねてお試しください。先日この機械で試された方から機械が動作しなかったと報告がありました。これは本人の操作ミスでした。カメラ本体からレンズをはずしてスピードチェックをしてください。ТТL露出計のチェックは、レンズを取り付けて行います。基準はEV12 125分の一秒 F5.6 ASA100 に設定してあります。尚、試作後にF3とnewF1を使いチェックを行いましたが、流石にF3。最初の3コマは125で動作しますが、この時の値、3コマとも最初の値のままピクリとも動きませんでした。普通はばらつきが出てあたり前なのに・・・。初め、組み立て不良か配線ミスかと慌ててしまいましたがN社の技術力は凄いと感激しました。

 又もう数台組み立てられる分の I C は確保してありますので、ご入用の方には御譲りできます。カメラのコセキ フォトテック
  阿部さん又は増子さんまでご連絡ください。


御注意 自作だから安く作れると考える方も結構いると思われます。
      1日かけて秋葉原や日本橋の電子パーツ屋を探して歩ける環境に恵まれた方は確かにそうでしょう。
しかし、私のように地方に住むものにとっては通販と言う手を使わざるをえないところもあります。パーツが1軒のお店で全て揃えられるのであれば問題はありません。現実には不可能です。1つのトランジスターが例えば15円としても、通販の最低金額が3000円以上というお店にしか置いていない部品の場合、さしあたり必要ないものまでいれて3000円以上にして注文しなければ入手できないというものもあります。この場合15円の部品が3000円+送料+振込み手数料+必要ない部品。へたをすれば4000円以上掛かってしまう計算になります。又、地元のパーツ屋に取り寄せてもらっても500円等となる場合もあります。なぜなら、取り寄せるお店だって送料は払っていますし、利益だって見なければならないのは事実です。更に細かいことを言えばパーツ屋までの電車やバスの交通費、マイカーならガソリン代、しかも何度通うのか。恐らく、安く出来ると考える方はここまでは考えていないでしょう。
最近は自作して安く作ろうとしても、それなりに費用はかかるというお話です。


: 現在このカウンター用の東芝製 ICが入手不能になってきております。
 液晶表示で良ければワンチップマイコンPICシリーズを使って製作する方法もあります。
 使えそうな雑誌の記事が、トランジスタ技術誌2002年11月号154ページ〜156ページに掲載されています。回路図も原理も掲載されておりますので、入力インターフェースさえ考えて製作すればそのままズバリいけそうです。もちろんマイコンチップですので、そのものズバリのシャッタースピード表示も可能でしょう。但しプログラムは自分で開発してマイコンチップに書き込む必要があります。意欲のある方は是非チャレンジしてみてください。私は以前、秋月電子通商のAKI-H8マイコンボードを使って作ることを考えていましたが、PICマイコンの方が手っ取り早いようです。うまく作ると、インターフェース部を内蔵してタバコの箱2〜3個重ねた大きさで出来そうですし、そうなると、片手にカメラもう片手にシャッタースピード試験機。気軽に測定できるし、場所も取りません。

お問い合わせが多いので、マイコン使用のシャッタースピードテスター (シャッタースピード試験機、シャッタースピード計測器、
シャッター速度測定機、ともいわれています) を製作しました。上記でPICシリーズマイコンを薦めながら、H8シリーズを使用して
製作しました事、お詫びします。興味のある方は下の写真をクリックしてください


問い合わせは カメラのコセキ フォトテック
仙台市青葉区一番町4丁目東映ビル1F
ТEL 022ー222ー3560
増子さん、阿部さんへお願いします

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